Measuring Stressストレスはどうやって測るのか

ストレスは気持ちの問題と思われがちですが、研究では体の反応もあわせて測ります。よく使われるのは、唾液や血液から調べるコルチゾール(ストレスホルモン)、心拍数、血圧、自律神経の働きを示す指標などです。

「落ち着いた気がする」という本人の感覚(心理面)と、体の数値(生理面)は、いつも同じように動くとは限りません。そのため、研究では両方を見る必要があります。

Meta-analysisまとめて分析すると、全体としては軽減の傾向

音楽を使った介入の効果を、104件のランダム化比較試験(参加者は合計9,617人)をまとめて分析した研究があります。結果は、体の指標でも心の指標でも、全体として有意なストレスの軽減が見られた、というものです。

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体の指標

効果の大きさは d = 0.38。中でも心拍数への効果が比較的大きく(d = 0.46)、血圧(d = 0.34)とホルモン(d = 0.35)はやや小さい結果でした。

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心の指標

落ち着かなさや不安などの心理的な指標では d = 0.55。体の指標より、やや大きい結果でした。

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数値の読み方

d は効果の大きさを表す数値で、一般に 0.2 が小さい、0.5 が中程度、0.8 が大きいとされます。今回の結果は、小〜中程度にあたります。

de Witte, M., Spruit, A., van Hooren, S., Moonen, X., & Stams, G.-J. (2020). Effects of music interventions on stress-related outcomes: a systematic review and two meta-analyses.

Health Psychology Review, 14(2), 294–324. https://doi.org/10.1080/17437199.2019.1627897

音楽介入が、ストレスに関わる体と心の指標に与える効果を、104件のランダム化比較試験からメタ分析した研究。体の指標・心の指標ともに、全体として有意な軽減効果が認められた。

Mixed Results「聴けばコルチゾールが下がる」とは限らない

一方で、個々の実験を見ると、結果が一致しない部分もあります。たとえば、健康な若い女性60人を対象にした実験では、ストレスのかかる課題の前に、リラックスできる音楽、水のせせらぎの音、何も聴かない状態のどれかを経験してもらい、その後の反応を比べています。

結果として、コルチゾールの反応は3つの条件で差があり、最も高かったのは音楽のグループ、最も低かったのは水の音のグループでした。一方で、自律神経の働きを示す唾液アミラーゼは、ストレスのあとに元の水準へ戻るのが、音楽のグループで無音のグループより速くなっています。心拍や心理面の指標には、グループ間の差は見られませんでした。

Thoma, M.V., La Marca, R., Brönnimann, R., Finkel, L., Ehlert, U., & Nater, U.M. (2013). The effect of music on the human stress response.

PLoS ONE, 8(8), e70156. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0070156

健康な女性60人を、ストレス課題の前に「リラックスできる音楽」「水の音」「無音」に割り当てて比較した実験。音楽は主に自律神経の回復に関わり、ホルモンや心理面への影響はそれより小さい、と著者らは結論づけている。

つまり、「音楽を聴くと、いつもコルチゾールが下がる」とは言えません。ただ、ストレスからの回復や気持ちの面で役に立つ可能性は、複数の研究が示しています。現時点では、そのように整理するのが正確だと思います。

In Daily Life日常で取り入れるときの考え方

研究ごとに、使われている音楽も聴く時間もさまざまです。「この曲を何分聴けばよい」と決めることはできません。実際には、聴いて心地よいと感じる曲を選び、疲れたときや気持ちを切り替えたいときに、無理のない長さで聴くのが現実的だと考えています。箏の音を聴く時間をつくるのも、選択肢のひとつです。

お伝えしたいこと

音楽は医療の代わりになるものではありません。強い不安、不眠、気分の落ち込みなどが続く場合は、専門の医療機関にご相談ください。

FAQよくある質問

Q. 音楽を聴くと、コルチゾールは下がりますか?

A. 下がるとは限りません。研究によって結果が分かれていて、ある実験では、リラックスできる音楽を聴いたグループでコルチゾールの反応が高く出ました。一方で、自律神経の回復が速かったという結果もあります。

Q. どのくらいの時間、聴けばよいですか?

A. 研究ごとに条件が異なるため、目安となる時間をひとつに決めることは難しいです。無理のない範囲で、心地よいと感じる長さで取り入れてみてください。

Q. 好きな曲と、リラックス向けとされる曲では、どちらがよいですか?

A. この記事で紹介した研究からは、結論を出せません。まずは、聴いて心地よいと感じる曲を選ぶのが現実的だと考えています。

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