「マインドフルネス」という言葉は、医療や心理、ビジネスの分野でも使われるようになりました。音楽を聴く時間と似ていると感じる方もいると思うので、整理してみます。
Mindfulnessマインドフルネスとは
マインドフルネスは、「意図的に、今この瞬間に、評価や判断をせずに注意を向けることで生まれる気づき」と定義されることがあります。この定義は、医療の分野でマインドフルネスに基づく介入を広めたジョン・カバットジンの論文などで知られています。
Kabat-Zinn, J. (2003). Mindfulness-based interventions in context: past, present, and future.
マインドフルネスの定義と、医療・心理の分野で用いられるようになった経緯を整理した論文。
Evidence瞑想の効果に関する研究
瞑想プログラムの効果をまとめた研究では、18,753件の文献を調べ、47件の試験(参加者3,515人)を対象にしています。マインドフルネス瞑想では、不安・うつ・痛みについて、小〜中程度の改善を示す、中程度の確かさの証拠がありました(効果量は、不安が0.38、うつが0.30で、いずれも8週間後。痛みは0.33)。
一方で、睡眠、注意、体重などについては、効果があるとも、ないとも言える十分な証拠がありませんでした。また、瞑想プログラムが、薬や運動、他の行動療法より優れているという証拠は見つかっていません。
Goyal, M., Singh, S., Sibinga, E.M.S., et al. (2014). Meditation programs for psychological stress and well-being: a systematic review and meta-analysis.
瞑想プログラムの効果を、47件の試験からメタ分析した研究。不安・うつ・痛みについて小〜中程度の改善を示す証拠があった一方、他の積極的な治療より優れているという証拠は見つからなかった。
Similar, Different音楽を聴くことと、瞑想の共通点・ちがい
瞑想(マインドフルネス)
- 注意を、呼吸や体の感覚などに向ける練習
- 良い悪いの判断をせず、そのまま観察する
- 研究では、数週間のプログラムとして効果が調べられている
音楽を聴く
- 注意を向ける対象が、音になる
- 好き・心地よいという感覚が自然に生まれる
- 楽しみや気分転換が目的でも成り立つ
音楽を、好き嫌いの判断をせず、ただ音そのものに注意を向けて聴く方法は、「マインドフルリスニング」と呼ばれることがあります。同じ音楽でも、BGMとして流しているだけの場合と、注意を向けて聴く場合では、体験が違うと考えられます。ただし、音楽を聴くことが瞑想と同じ効果を持つかどうかは、この記事で紹介した研究からは言えません。
Playing演奏と注意
演奏は、いまの音に注意を向け続ける行為でもあります。演奏そのものが瞑想と同じだとは言えませんが、「音に注意を向ける時間」という点では、共通点があります。海外で「Zen」や「Wabi-sabi」が注目される背景については、海外で"Zen"や"Wabi-sabi"が人気な理由でも触れています。
お伝えしたいこと
強い不安や気分の落ち込みが続く場合は、瞑想や音楽だけで対応しようとせず、専門の医療機関にご相談ください。
FAQよくある質問
Q. 瞑想の効果は、医学的に確認されていますか?
A. 47件の試験を対象にしたメタ分析で、不安・うつ・痛みについて、小〜中程度の改善を示す、中程度の確かさの証拠がありました。一方で、薬や運動など他の治療法より優れているという証拠は、見つかっていません。
Q. 音楽を聴くだけで、マインドフルネスになりますか?
A. 注意を向けて、判断せずに聴けば、マインドフルな聴き方になりうると考えられます。BGMとして流すだけの場合とは違いますが、効果の大きさを比べた研究は、この記事では扱っていません。
Q. 瞑想の代わりに、音楽を使うことはできますか?
A. 音楽と瞑想を直接比べた研究は、この記事では扱っていないため、同じとも違うとも言えません。